皮膚だけを切除する手術ではありません
下眼瞼手術は、単に目の下のたるんだ皮膚を切除する手術ではありません。
年齢を重ねると、目の下の皮膚のたるみ、脂肪の突出、目の下の溝が一緒に現れます。そのため、目の下の構造全体をバランスよく矯正する過程が必要です。
特に下眼瞼手術では、目の下の脂肪をどのように扱うかが重要です。脂肪再配置、脂肪除去、眼窩隔膜の強化(隔膜強化)の三つが、その中心となります。
目の下にはどのような変化が生じますか
年齢を重ねると、目の下にさまざまな変化が同時に現れます。
- 目の下の皮膚が薄くなり、たるみます。
- 目の下の脂肪が前に押し出されて、ふくらみます。
- 涙の溝(tear trough、目の下に長く刻まれる溝)が深くなり、クマが濃くなります。
- 中顔面(頬の前側)がたるみ、しわができます。
こうした変化が重なると、疲れて老けて見える印象になります。
近年の基準は「温存」です
下眼瞼手術は似ているように見えて、意外に方式がさまざまです。近年の方向性は、温存的な方式です。
- 皮膚の切除を最小限にします。
- 脂肪の除去を最小限にします。
- 剥離(組織をはがして入っていく範囲)を最小限にします。
- できる限り組織を温存します。
| 方法 | どのような場合に検討するか | 行うこと |
|---|---|---|
| 脂肪再配置 | 涙の溝が深くなり、影ができている場合 | 脂肪を下方へ移し、目の下から頬の前側へなめらかにつなげます |
| 脂肪除去 | 脂肪が多く、ふくらみが強い場合 | 脂肪を取り除きます。最小限の除去が原則です |
| 眼窩隔膜の強化 | 脂肪を抑えている膜がゆるんでいる場合 | ゆるんだ膜を引き締めます |
脂肪を抑えている膜を引き締めるということは
眼窩隔膜(眼窩脂肪を前から抑えている薄い膜)がゆるむと、脂肪が前に突出します。眼窩隔膜の強化は、この構造を再び整える方法です。脂肪が再び前に押し出されるのを防ぐ段階であるため、結果が保たれるうえで重要と考えています。
わかりやすく言うと 目の下の脂肪は、薄い膜が前から抑えています。その膜が伸びると、脂肪が前に押し出されてふくらみます。そのため、脂肪だけを扱うのではなく、膜も一緒に引き締めます。
脂肪再配置は脂肪を取り除かないため、こけた頬の前側を同時に補うことができます。反対に、脂肪が多すぎる場合は、取り除く方向が必要です。
ただし、脂肪を過度に取り除くと、目の下がくぼみ、かえってより疲れて見えることがあります。そのため「最小限の除去」が原則です。
目の下だけでなく、頬の前側まで見ます
下眼瞼と中顔面(頬の前側)は、常に一緒に見る必要があります。
頬の前側がこけると、目の下の影がより濃くなり、頬の前側から下へ走るしわが目立ちます。目の下だけを整えても、目の下の変化が小さく見える理由です。
そのため、必要に応じて、中顔面のリフトアップ、頬の前側への脂肪移植、ほうれい線まわりのボリューム補充を併せて検討することもあります。何を一緒に行うかは、診察しながら決めます。
最も大切な原則は「やりすぎない」ことです
下眼瞼手術の難しさは、どれだけ適切に切除し、どれだけ多く温存するかにかかっています。
- 皮膚の切除は最小限にする必要があります。やりすぎると、下眼瞼外反(下まぶたの縁が外側に反り返る状態)のリスクがあります。
- 脂肪の除去は最小限にとどめます。
- 剥離は必要な範囲のみ行います。
温存、自然さ、安全。この三つを併せて見ます。
まとめると
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 脂肪再配置 | 溝を満たして、自然な曲線をつくります |
| 脂肪除去 | やりすぎず、最小限にとどめます |
| 眼窩隔膜の強化 | 脂肪が再び押し出されないようにします |
| 皮膚の切除 | 最小限にして、副作用を減らします |
| 中顔面 | 頬の前側・ほうれい線まで併せて見ます |
組織を温存する方向で計画することが、当院の基準です。
手術時間・麻酔・抜糸の日程と副作用は、[下眼瞼手術のご案内](/eyes/lower-blepharoplasty)にまとめてあります。
